美味しい蕎麦だけど見た目が残念 茨城町の蕎麦 昔そば 若竹 [茨城の蕎麦]
茨城の田園風景は空が広くて気持ちがいい・・・・・。 そう、またまた茨城での仕事なのだ。最近は妙に茨城が多い気がする。まぁ蕎麦屋が多いから好都合なのだが・・・・。
今回は水戸南ICから一寸走ったところにある蕎麦屋さん”昔そば 若竹”に訪問してみた。地味な外観は気付かす通り過ぎてしまいそうな感じだ。
店内には地元紙に掲載されたときの切り抜きと油画がいっぱい置いてある。 壁、襖は所々擦れていて場末的な雰囲気を感じる。そして気になったのは建物の匂い。空気の抜けが悪いのか淀んだ感じの匂いがする。暗く、陰気な湿気の匂いで気分が暗くなる。
飾ってあるではなく置いてあると表現したのは、もはや物置状態としか思えない程大量に展示してあるから。まるで場末の美術画廊にいるようだ(展示の仕方がそう思わせる)。これは落ちつかない。作品はご主人が描かれたのか、結構素敵なのだけれど・・・・・特にこの一枚は結構好きかも。
紫陽花が飾ってあるのは季節を感じさせてくれて嬉しい。まず出されたのは水。いくら暑くても熱い蕎麦茶が飲みたい。 写っていないが奥の座敷の壁上側にもたくさんの絵がある。上手く、素敵な絵を描かれているのは確かだが、飾り方を間違えると素敵にみえない。空間を考え余白を十分取って広々とした雰囲気で展示するのがいい。こんなに窮屈に並べたら圧迫感を感じて素敵な絵でもつまらなく見えてしまう。
品書き・・・・気になるのが訂正箇所。ガムテープが貼ってあってその上からマジック書き。いくら何でも貧乏臭い。客商売なんだから、来てくれたお客さんの気分を盛り下げるような事はしてはいけないと思う。
生粉打ち(十割のこと)は限定とある。限定の言葉に弱いからこれを頼んだ。そして好物の蕎麦しるこも。
昔ながらの蕎麦屋さん的な盛り。これはこれで落ちつく。小鉢には昆布の煮たものが。これは期待できる、経験的に昆布の煮たものが出てきた店は皆美味かったから。
表面の感じや色は如何にも十割蕎麦といった感じだが、仕上げは綺麗とはいえない。雑な感じの蕎麦も混じっていて全体のクオリティを下げている。たとえ美味くても見た目が悪ければ台無しだ。
流石に多くの蕎麦を食べ続けてきたのだ、外観だけで喉越しや噛み応えの想像がつく。この蕎麦の喉越しと噛み応えの予想値を味覚センサーにインプットして セット完了。
さっそく蕎麦のみで・・・しっかりした蕎麦の香りが嬉しい。啜った時に香りが来ない蕎麦は物足りないから。喉越しは正当派十割蕎麦の喉越しで良くはない。しかし噛んで食べたいからこれで良い。噛み応えもモッチリして噛んだ瞬間に蕎麦の甘味と香りが口いっぱいになる。幸せな気分・・・・になれるはずなんだけど、う〜ん。そう、暗く陰気な空気が気分を盛り下げている。
薬味・・・・これは???。まず葱の切り方に違和感がある。この形、温かなかけ汁蕎麦に入れるには良いがセイロにはどうかと思う。 山葵も香りが良くないし舌触りも悪い。
汁を口に含む。ほぅ、これは・・・
優しい感じでホッとする味わい。優しいでけでなくしっかりした輪郭も持ち合わしている。やや辛口で濃さも適切で飲んでいても喉につかえない。味に重さもあって美味しい汁だ。何より甘味が後口に残らないのが良い。そしてダシに昆布が多いのか優しい味わいだ。香りが控えめだから蕎麦の香りの邪魔をしない。あくまで蕎麦の香りを引き立てる汁。これは良い汁だ。
蕎麦を汁に浸けて啜る。汁が蕎麦を引き立てて甘味が増してくる。喉越しは当然良くはないが、頑張って啜る。すると勢いをつけただけ蕎麦の香りも強く感じられる。 モッチリした感触の蕎麦から溢れる甘味を堪能しつつ一気に食べる。ゆっくり味わいたいのだけど居心地が悪いから急いでしまう。どうも陰にこもった気を感じ気分が滅入る。それはただ単に雰囲気が自分の肌に合わないせいなのかもしれないが。
昆布を食べる。肉厚で柔らかな美味しい昆布だ。そりゃそうだ蕎麦汁が美味しいのだから美味しいに決まっている。この美味しい昆布が美味しい蕎麦汁を作ったのだ。
蕎麦湯は茹で湯そのもの。最初の客だからほとんど湯。
楽しみにしていた蕎麦汁粉。中にはたっぷりの蕎麦がき。柔らかで弾力のある蕎麦がきはやはり美味しい。が、少々緩さを感じる。もうすこし煉った方が好みなのだけど。
餡も甘さ控えめで焚いてあって、小豆の風味が良く判る。美味しい蕎麦汁粉だった。
昔そば 若竹
茨城県東茨城郡茨城町若宮717-4
☎029-293-9125
11:00~15:00
定休日 水曜日