昭和の香りのする氷やさんで懐かしさを味わおう かき氷 村田屋 [お店の甘味(sweets)]
暑い・・・・こんな日はかき氷を食べたい。エアコンの効いたフードコートやファミレスではなく、無論高級甘味店の氷でもなく。できるなら子供の頃に行っていた氷屋さんのような店で、自然な風に撫でられながら氷を味わいたい。
梅雨があけた途端、太陽の威力は増して、まるで全てを焦がそうというばかりに容赦なく照りつけている。この影の濃さはどうだ!輪郭を路面に焼き付けているかのようだ。
昼休み、空を見上げれば紫外線の強さに目が眩む。夏ってこんなに暑かったのか・・・・外を歩くだけで肩で呼吸をしてしまうぐらいの暑さに冷たいものが食べたくなる。たまに吹く風に肌が心地いい。ということは暑さは未だ本番ではないという事。
肌に触れる風は湿気を感じるが不快な程ではなく、心地よさも感じる事ができる。真に不快な暑さの時は肌に触れる風に心地よさは無い。それは粘度の高い湿った熱い空気が肌にまとわりつき、歩くのも空気の海を泳ぐような感覚。そんな不快さにはまだ到達していないが、それでも暑さは我慢できない。
オフィスビルの近所に気になる”氷”の看板があった。前を通る時は何時も閉まっていて何時開くのか判らなかったが行ってみたら暖簾が!行ってみるものだ。
暖簾をくぐると・・・・・・此処は・・・・・懐かしい匂いのする場所。昭和の頃、そう、自分が子供の頃の氷屋の雰囲気そのまま。ビニール地の貼ってある椅子、古ぼけた机、大きな文字の壁の品書き。勿論エアコンなどは無く、扇風機が唸っている。店の奥は裏庭につながり戸は解放されていて、風は奥から入口に向かって流れる。それは爽やかな風となって肌を撫でてくれる。
未だこんな場所があったのか!子供の頃の記憶がよみがえる。眩しくて全てが白く溶けだしてしまうような暑い夏の午後、硬貨を握り締めて飛び込むかき氷の店。店のお婆さんに希望のシロップを伝えると婆さんは機械に氷をセットして削りだす。
力強いモーターの音に軽やかな氷を削る音、そして蝉時雨・・・・
ほどなくガラスの器に低く平らに盛られたかき氷が目の前に現れる。婆さんはシロップの器の蓋をあけて計量オタマで一杯すくう。それを平らな氷にかけ、再び機械の下に。
氷を削る音が店の中に響く。
何処まで山に盛ってくれるのか、心配するように見つめ続けていた。そして二度目に現れたガラスの器にはかき氷が山盛り。その上からシロップを垂らしてゆく。今度は360度どの方向からも均一に見えるように丁寧に。婆さんは微笑みながら”シロップ多めにしといたから”と。
握りしめて温かくなった硬貨と引き換えに冷たいガラスの器を受け取る。まずスプーンで氷をすくって口の中に。冷たい氷が口の中に入れた途端溶けてゆく、口の温度を奪いながら。シルキーな粒子となった味の無い氷の感触を味わい、次はシロップがかかっている部分にスプーンを差し込む。それを口に含むと甘く冷たい氷の味が舌の先からだんだん奥に向かって広がってゆく・・・・・・
と、思い出に浸っていたら店の人が注文を聞きに。おっと、想い出に浸っている場合ではなかった。見ていた夢を途中で遮られた時のような、現実と夢がごちゃ混ぜになった感覚を覚えながら何にするか品書きを見る。
小豆が好きだからクリームあずきを頼んだ。子供の頃のかき氷屋さんはシロップの種類がもっとあった気がする。それらが美味しいかどうかは別として。
あんみつ類もあるのが昔っぽくて良いな。今度はクリームあんみつを頼んでみよう。ただ残念なのは宇治系が無い事だ。
昔のように硬貨と引き換えに品物を受け取る。さすがに握りしめていなかったけれど。さっそくスプーンで氷をすくって口の中のに。冷たさが口の中に広がってゆく。シロップも絡めながら食べ進み氷を掘ってゆくと・・・・
アイス鉱脈が発掘された。甘くクリーミーはアイス鉱脈を掘り起こし、採掘してゆく。採掘された資源は次々に口の中に。この鉱脈を掘り続けるとその下から小豆鉱脈が現れた。アイスのクリーミーな甘さに小豆は素晴らしく相性が良い。
小豆の粒粒もしっかりしていてかき氷に良く合う小豆だった。
かき氷 村田屋
横浜市保土ヶ谷区岩間町2-101
☎非公開
営業時間&定休日 上の写真を参照
長瀞の天然氷のかき氷とは別の種類のかき氷、氷のキメやシロップの違いは確かにある。しかしながら昭和のかき氷を楽しむには断然この店。店自身が昭和を味あわせてくれる。来るときっと懐かしい気分になれるはず。
かき氷を食べて涼しくなった。このままオフィスに戻るのも勿体ないし時間的にも早い。珍しく出張しないでオフィスに出社しているのだ、ちょっとオフィスビルを散歩しよう。
勤務先が入っているオフィスビル。このあたりではこの建物だけが高いから目立つ。
このオフィスビルの外にはサイや・・・・
犬がいっぱいいる。
しかもこの犬、壁抜けの術が出来るようだ。
キリコの絵に出てきそうな壁
外でお弁当を食べるに良い場所。早く行かないとベンチはすぐに満席になる。
水面に空を映す
夏の空は青くて気持ちいいです。
オフィスの窓から見える風景。