住宅地の中に同化した蕎麦屋 そば処 椿野 [茨城の蕎麦]
今日の出張は茨城はつくば市。
久しぶりの茨城、しかも新蕎麦の季節です。
どうせなら十割蕎麦がいいなと十割の店を調べ、出張に出発しました。
つくば市内の並木は良い色に。
目的地はつくば市内の住宅地にあります。
住宅地には未だ地震の傷跡がくっきりと。
目的地はここ、そば処 椿野。
蕎麦屋とは思えない外観、普通の住宅のようです。
看板が無かったら全く判らなかったでしょうね。
店の正面も蕎麦屋の感じは全くしません。
暖簾も無く、此処で蕎麦を打っているとは想像もできませんね。
ちょっと嫌な予感が。
こういった感じの蕎麦屋にありがちなのが・・・蕎麦は拘っているが汁が粗いというパターン。
さてここはどうなのでしょう。
大体お店という感じすらしない入り口なのです。
営業中の札が店である事を主張しているのみ。
蕎麦屋である事は・・・小さな”そば処”の文字だけ。
ちょっと入るのに悩みます。
ドアを静かに開けて中に入ります。
飛び込んで来た景色は・・・・蕎麦屋?
窓側にテーブル席が二卓と
板の間にも二卓。
カウンターには4席
蕎麦屋のような、そうでないような・・・・ちょっと不思議な感じです。
でも清潔感があって良い雰囲気です。
湯のみも良い感じ。
品書きを確認しましょう。
その前に気になる貼り紙が・・・
釜あげそばだって?
ただでさえのびやすい蕎麦を釜あげにするとは・・・
値段からして二八の細打ち蕎麦なのでしょうが、のびてしまうと思います。
のびた蕎麦はどうかと思うのですが・・・・
ガツンと太打ちだったら良いのかな?
品書きを確認しましょう。
地元笠間を中心に新治、福井の蕎麦を使っているそうです。
二八で680円。良心的な価格設定ですね。
目的は十割蕎麦。十割でも840円ですからやはり良心的。
おや、黒挽き十割蕎麦と細打ち十割蕎麦との合盛りがありますね。これは面白ろそう、これにしましょう。
合盛りにしても価格が変わらないのは珍しいですね。大抵は量が多くなって価格もあがりますから。
これの大盛りを頼みました。
四種類ですがご飯ものもあります。
豆腐丼が興味深いですね。
うどんもあります。
揚げ蕎麦がきも良さそう。
そばしるこも美味しそう。
でも今回は二種盛りの大盛りを頼みますからそばしるこの注文は止めておきます。
蕎麦が運ばれてきました。
一つのザルに十割蕎麦と黒挽き十割蕎麦が盛られています。
蕎麦と同時に蕎麦湯が出てきます。
これはいけません。
食べ終わった頃に出して欲しいですね。冷えてしまった蕎麦湯は楽しめませんから。
細打ちの蕎麦。
十割ですが極細です。ただ、エッジは感じられません。
表面はやや粗いようですが良くつながっています。
黒挽き十割蕎麦。
細打ちに比べ、厚く幅広の色黒な蕎麦は香りもさぞかし・・・期待で手が焦ります。
表面も細打ちより滑らかな感じです。
只・・・きしめん率(*)が3以上ありそう。
きしめん率の高い蕎麦は自分と相性が良くないので心配です。
(*)きしめん率とは蕎麦の厚みと幅の比(蕎麦断面の縦横比)です。断面がスクエアなら”きしめん率=1”
きしめん率は蕎麦打ちを探求されるたーさんのブログ”エンジニアによる手打蕎麦打ち研究所”にて提唱された単位です。
この単位、蕎麦を表現するのに便利で使わせていただいています。
蕎麦のみで啜りましょう。
まずは細打ちの十割蕎麦から。
啜った時からガッツンと蕎麦の香りが立ってきます。
噛み応えは強くなく、噛み切ったときの反力に弾力はありませんがコシはしっかりしていました。
次に黒挽き十割蕎麦。
啜ります・・・・香りが立ってきません。
咀嚼した時の甘味の出方も細打ちの方が強いくらい。
噛み応えは色が黒い割りには悪くないです。殻の粒子はかなり細かく、噛んだ時に蕎麦が潰れて行く食感に悪い影響を与えていません。
しかし・・・見た目から想像するような香りを感じませんでした。
これなら細打ちの十割だけで良いのかとも思えます。
汁を確認しましょう。
少量口に含みます。
ほー、これは・・・良いバランスです。
だしの香り、甘味、酸味、塩気・・・どの味も強く出過ぎていません。
気持ち甘めが半歩前に出ている感じで、少しぼてっとした雰囲気。
洗練された感じは無く、輪郭のシャープさは感じませんが、控えめで優しさを感じます。
優しさに、ついついそのまま飲んでしまいます。
心配は杞憂でした。
蕎麦を汁に浸けて啜ります。
優しい汁は蕎麦の邪魔をしません。
自らを過度に主張せず、蕎麦の甘味をそっと引き出すのです。
薬味は葱と山葵。
葱は瑞々しいです。山葵は色が白く、一瞬大根かと思いました。
細打ち蕎麦の後は口直しに山葵を舐めます。
瑞々しい香りが口に広がって味覚がリフレッシュ。
この山葵、瑞々しく香りが高いです。それでいて辛味が少なく、食べやすい山葵でした。
黒挽きの十割を汁に浸け食べます。
やはり細打ちの方が香りと甘味を感じます。
噛んでも、噛む程に甘味が出るタイプではなく、おとなしめの甘味。
不思議ですが自分はきしめん率の高い蕎麦とは相性が良くないようです。
蕎麦湯。
適度な濃さでサッパリした湯でした。
う〜ん、そばしるこに未練を感じます。
そんなに気になるのなら・・・頼むしかありませんね。
しるこです。田舎しるこ(おぜんざい)ではなく、御前しるこ。
そばがきが美しいですね。
そばがきがネットリフワフワです。
蕎麦の実が香ばしく良いアクセント。
粒がない御前汁粉故に蕎麦がきのフワフワ感、ネットリ感が良く判ります。
汁粉自体も甘さ抑えめで上品な味わいでした。
大盛りは250円増しでした。
茨城県つくば市筑穂3-7-7
029-864-8985
11:30〜14:30 & 17:30〜20:30
定休日 木曜日